消費税増税について
今日は、消費税増税について所感を書いてみたいと 思います。
いよいよ2014年4月から消費税が8%に引き上げられます。
2015年10月には、さらに10%に引き上げの予定となっていますが、
これについては、経済の動向を見て、引き上げの決定を行うかを決めるようなので、まだどうなるかは不明です。
現在は、消費税増税が、消費者の家計の負担を増大させ、その結果、消費意欲が削がれて
景気が冷えこむのではないかという懸念があることから、それに対処するための方策が練られている状況です。
しかし、企業側を活性化させて賃金上昇を狙う法人税減税の導入については、様々な弊害を抱えていることから、慎重を要する状況となっています。
増税された分は、被災地復興費用や社会保険関係への充当として考えられているので、
その点はよいことかと思います。しかし、問題は、増税されたことにより、経済情勢が
果たして明るくなるかどうかということです。
大事なことは、日本国内のみならず世界の状況も踏まえることだと思います。
現在、為替は円安で、輸出企業の活性化が見込まれますが、実際は、それほど活性化は されていません。
今から30年ぐらい前は、日本はメイドインジャパンをアピールした輸出で経済は大いに活性化できました。
日本が輸出品で一人勝ちできるような黄金時代がありました。
しかし、今は違います。中国や韓国、アジア諸国の新興国が、今では日本なみの技術で 自国からの輸出を促進させ、台頭してきています。
激しい競争の中、安い人件費で生産できる新興国に比べ、人件費の高い日本は、価格競争では不利な状況となっています。
かと言って、価格競争を制していくためには、原材料費や工数のダウン以外に、賃金も下げていかなければなりません。
しかし、賃下げは、これから労働者の賃上げを推奨していく政府の政策に逆行する行為となると同時に、国民の生活水準を低下させてしまうので、現実的ではありません。
仮に 賃下げを実行してしまうと、経済に大きなダメージを与えかねません。
もし、国内の従業員の賃下げができないとなると、企業はやむにやまれず海外生産に活路を求めていくことになるので、それにより、国内の雇用情勢が悪化してしまう恐れが
あります。
それと、もう一つの懸念事項となるのが、物価の上昇です。これには、円安と原材料
コストの上昇による要因がからんできます。
円安については、為替の関係上、輸入コストが必然的に上がります。しかし、それ以上に懸念されるのが、海外情勢による輸入コストの上昇です。
世界は今、人口が増加傾向にあり、ライフスタイルも以前に比べ、大きく変わってきつつあります。
特に中国は、目まぐるしい近代化により、日本と同じレベルのライフスタイルになってきました。
そのような状況の中で、近代的食事スタイルが新興国諸国にも普及してきており、これらの国を中心に食料需要はますます増大しているので、食料費は、 今後も値上がりして
いくと思われます。
これに円安が加わると、輸入食材が多くを占める日本人の食材は、さらに値上がりをしていく恐れがあります。
あわせて、石油価格の上昇リスクや異常気象による収穫量減少のリスクも考慮しなければなりません。
物価のさらなる値上がりの中での消費税増税は、日本経済を危うくする恐れさえあり
ます。
このようなリスクを踏まえて、消費税導入にあたっては、軽減税率の導入を最優先に考えてほしいところです。
食材や燃料費などの消耗材の税率は低くおさえる、あるいは現状の税率のままにする必要があると思います。
欧州の国の税制についても注目すべきところがあります。
例えば、デンマークという国は、消費税率が極めて高い国ですが、それでも、デンマークの国民は、現状の生活をしあわせと感じているようです。
なぜなら、税金の多くが、福祉や社会向上のために使われ、現状の生活や老後の生活が
保障できているからです。
ただし、高額品への税負担額はかなり高くなるとあって、国民の多くは自家用車という ものを持たずに、自転車をよく利用するという質素な生活です。
また、デンマークにはないですが、スウェーデンなど多くの国には、食料品などの生活必需品に対して、軽減税率が導入されています。
このようなライフスタイルはかえっていいのかもしれません。しかし、現状、車社会に
ある日本を、デンマークのようなライフスタイルにするということは難しいので、消費税を含めた増税の決め方は、慎重に考える必要があります。
確かに、日本の負債が1000兆円を超えた現在、日本がその問題打開のために消費税増税を打ち出さないと、海外からは、日本が近い将来、財政ファイナンスを実行するのではないかと受け止められ、日本の国債売りを発生させてしまうということは十分に考えられます。
しかし、ここは、現在の国内の状況、今後の展望、海外情勢を吟味した上で、消費税をどうすべきか政府には考えてもらいたいところです。
以上、自分なりの所感でした。
2013年10月3日