日本の利上げは当面ないかも 日銀、長期金利上限そのままで金融緩和を続行 

日銀は本日(1月18日)開いた政策決定会合において、「長期金利の上限0.5%はそのまま据え置くこととし、大規模な金融緩和については今後も引き続き行うこととする。」との旨を発表しました。

さらに、「長期金利の上限は上げる必要はないと考えている」との発言もありました。

また、「共通担保資金供給オペ(銀行にも国債を買ってもらう)を拡充して、長短金利のバランスを維持させる」との発言もありました。

 

今回の発表と発言の内容は、「利上げは全く考えに入れず、金融緩和で経済を活性化させることを第一にする」という日銀の決意の表れです。

 

先月、日銀が長期金利の上限を0.25%から0.5%に変更したことで、市場はこれを事実上の利上げと受け止めました。

また、先日、日銀が先月発表した政策変更の内容を見直すと報じたことから、市場には、「日銀が長期金利の上限をさらに広げるのではないか、または上限そのものを撤廃するのではないかという。」思惑が広がりました。

この思惑からか、投機筋による国債の売りが立て続きに入り、長期金利が一時0.5%を超えてしまう場面も見られました。

もし、長期金利の上限を0.75%に変更した場合、投機筋はさらに国債の売りを進めて、長期金利を0.75%あたりに定着させてしまう恐れがありました。

これによって、固定金利がさらに上がる恐れもありました。

 

また、長期金利の上限を撤廃した場合は、金利の上昇は市場原理に委ねられますが、現在の情勢を考えると、どこまで金利が上がるかは未知数なので恐ろしい面がありました。

上限撤廃によって国債の格付けが下がるようなことにでもなると、一気に金利が上昇してしまう恐れがありました。

このような金利の上昇は、利上げによる金利の上昇とは全く別物です。
この場合は、国債価格が大幅に下落するので、円安とコストプッシュインフレは急加速で進行することになります。

 

したがって、長期金利の上限をそのままにして、長期金利の上昇の抑えこみを続ける今回の日銀の発表内容は、今考えられる最善の策だったと思います。

おそらく、日銀の総裁が誰に変わったとしても利上げをすることは当面ないと思っています。

また、日本のインフレ率の目標値2%が達成されない限り、日本の金融緩和は続くのではないかと思っています。

 

実のところ、日本経済は過熱していないので、日本には利上げを必要とする理由がないのです。

また、金利の上昇は国の借金の利払いを増やすことになるので、将来支払う税の額を増大させる要因になります。

予算のやりくりが厳しい現状で利上げに踏み切るのは困難です。

 

しかし、金融緩和を続行するにあたっては、問題点があります。

今後の国債の買い入れ額ですが、これが以前にも増して高額になると考えられます。
当然、借金と利払いが増えるので、将来の増税の要因になります。

来年3月までの国債の買い入れ額は1カ月あたり9兆円が予定されていましたが、今月は現時点で既に17兆円も買い入れをしてしまっています。

これは投機筋がかなりの売りを浴びせてきていることが起因しているようです。

また、金融緩和を止める場合や利回りの異常の修正が不可能になった場合は、長期金利上限の撤廃を行うことになるので、金利急上昇のリスクが発生します。

本当に金融緩和を止めることができるのか、不安な面はあります。

現在の日銀の国債の買い入れ状況に懸念を持っている海外の機関もあります。

財政ファイナンスと受け止められることがないよう、日銀には規律をもった対応が望まれます。

 

 

 

2023年1月18日