アメリカの利下げ観測。今後は円高が進行するのか。

アメリカは、今年か来年あたりに利上げを再開させるような気配にありましたが、
ここに来て、一転、年内に利下げを行う可能性ありの気配に変わってきました。

どうやら5月に発表された雇用統計の結果が悪かったようで、これが年内利下げの示唆につながっているようです。
まずは7月中に0.25%ダウンの利下げが宣告される可能性が高まっています。

アメリカのインフレ率が目標値に達していないこと、米中の貿易摩擦の加熱、中国の景気減速がもたらすアメリカの景気減速の懸念も利下げの可能性を後押ししているようです。

アメリカが利下げを行うと、アメリカの金利が下がることにより日米の金利差が
縮小するので、理論上、ドル安円高になりやすくなります。

しかし、本当に円高がどんどん進行するのかというと微妙なところがあります。
前回、10年近く前にアメリカが利下げを行ったとき、その後の数年間では、円高はそれほど進むことはなく、むしろ円安傾向になりました。

利下げを行ったことにより、資金が新興国や株などに流れこみ、それにより新興国が潤い、株価が上がりました。
株価の上昇はドル高や円安をもたらしました。

そして、日本が強固な金融緩和を打ち出してからは、円安が助長される状況にもなりました。

もしも、他国の利下げによって円高が過度に進行するならば、日本は追加緩和などの何らかの対処を行うものと思われます。
以前に比べて、日本が金融緩和で使える手は少なくなってきてはいるので、緩和の方法には何らかの工夫が施されると思われます。

年末にもまた、アメリカでは利下げが行われる可能性がありますが、今年中に行われる可能性のあるアメリカの利下げについては、市場では織り込み済みになっています。
市場が想定している利下げならば、よほどのサプライズが起こらない限り、円高がどんどん進行することはないように思います。

よほどのサプライズとは、今後のアメリカの経済指標(雇用統計など)が極度に悪化したり、米中貿易摩擦の収拾がつかなくなってアメリカの景気の悪化が生じることなどです。

一方で、株高やよいニュースによって円安に振れる場面はあると思います。しかし、利下げによってドルは現在よりも買われにくくなるので、円安がどんどん進行するということもないように思います。

しかし、今後、中東情勢などで原油高が訪れた場合には、インフレが加速することによって、逆に利下げから利上げに転換する可能性はあります。

予想ですが、今年、想定内の利下げが行われた場合、大きな事がなければドル円は、105円代から111円代ぐらいまでの間でしばらく円高円安を繰り返すのではないでしょうか。

 

円高を暗示しています

 

 

2019年6月29日